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OXY株式会社 山下拓馬のBLOG

レッドオーシャンで見つけたブルーホール⑧

第八話 ブルーホールの実態

事業としてするからには勝たないといけない。勝てるビジネスモデルとは何か。コンビニの4.3倍もの数がある美容室で、そのほとんどが中価格帯の個人店だ。美容室でも参入障壁が高い高価格サロンと低価格サロン。僕自身は美容師でないので、ブランドサロンをイチから作り上げるのはなかなか難しい。であれば低価格サロンで勝つにはどうしたら良いのか。そこから僕は月2,3回通っている美容室を、低価格サロンに絞って通うことにした。5月から年末にかけて、株取引以外のほとんどの時間を費やし低価格サロンについて調べた。

低価格サロンとひとまとめに言っても、お店の雰囲気やサービスに凄くバラつきがあることを知った。

話がズレるが、その頃低価格サロンとして店舗数を増やしていたAサロン、Bサロン、Cサロン全てが業務委託サロンだった。業務委託サロンとは、美容室で働くスタッフと会社が業務委託契約を結び、個人事業主として働くサロンである。正社員と違い業務委託のスタッフは雇用されていないので、勤務時間という拘束がなく、出勤も自由なため時間に縛られることなく自由な働き方が出来る。業務委託のスタッフへの報酬は完全歩合制になり、お客様を担当した施術代から還元された歩合が会社より支払われる。会社からすれば、正社員を雇うよりも業務委託契約で働いてもらうことで、人件費や社会保険料などのコストがだいぶ抑えられるのである。今は少なくなってはいるが、正社員スタッフの社会保険料を半分会社が負担する義務があるにもかかわらず、支払を免れるために社会保険に加入させない美容室もあったほどだ。また人件費を計算しやすいのも業務委託サロンの特徴で、その美容室に業務委託のスタッフを何人受け入れようが売り上げに対しての歩合率は一定なので赤字を抑えることができるが、正社員の場合だと基本給があるので雇えば雇った分だけ人件費は上がり、売上とのバランスをとるのが大変なため経営リスクは高まる。

話を戻すと、低価格サロンでもお店の雰囲気やサービスに凄バラつきがあるのは、業務委託サロンだからだという事に気づいた。何故なら、スタッフに対して時間拘束が出来ないので、みんなで掃除をすることもできない。業務として強制もできないので、店内が凄く汚いサロンもあった。同様の理由で揃ってミーティングすることもできないので、店舗ルールの統一化を図れない。シフトも自由になるので、出勤にバラつきが出来る。完全歩合制なので自分の顧客だけに集中し、他のスタッフが大変そうでも協力することがなく完全個人プレーになりがちで、お店として機能していないところもあった。何度も低価格サロンに通う事で、業務委託サロンのスタッフの多くは自分の担当する顧客以外のお客様に対しては「気遣う」という事がなく、作業として施術しているように感じた。
だから会社は同じでも業務委託という個人事業主の集まりのため、サロンによりお店の雰囲気やサービスにバラつきがあるのだと分かった。

どの業種でも人件費はネックになる。そこを業務委託サロンであれば人件費はかなり抑えることができる。しかしサービスや店舗の雰囲気の向上を図るならば正社員は欠かせないと判断し、正社員と業務委託のハイブリッドとして店舗を作り上げてはどうかと考えた。
全国でコンビニの4.3倍の数ある美容室、そのほとんどが個人経営の中価格サロンであり、その中価格サロンよりもおしゃれな内装で常に清潔感があり、技術に関しても引けを取ることがなく、使う薬剤に関しても高価格サロンと同じものを使っている低価格サロンであれば、中価格サロンに通う客層を低価格サロンへと集客させることが、まだまだ可能なのではないかと判断したのである。

本やネット、実際に美容室へ通いまくり、美容業界の構造を理解した僕は「このビジネスモデルならば勝てる!!」と確証した。そこで僕はこの考えを美容師の田中さんに話した。

田中さん「いやー!それ絶対いけますよ!そんな美容師でも知らないようなことまでよく調べましたね!」

僕「最初はちんぷんかんぷんで、カラー剤の染め方や配合も調べて何故オキシは6%までなのか、海外ではOKなのに日本ではだめなのかとかも調べました!」

田中さん「え!そんなことまで調べたんですか!」

田中さんはキョトンとしたような表情をした。
僕は少し楽しくなり、話をつづけた
僕「美容師免許を取ろうとさえ考えていますよ!」
田中さん「えー!」
僕「本気で言ってますよ!美容師でないオーナーに美容師という技術職の方達がついてこないと思うんですよね。」

田中さん「では、僕がそのお店をまとめるというのはどうでしょう?」

次は僕が驚いた。しかし、少なからずその答えを僕は待っていたような気がする。

僕「お願いします!!強いお店を二人で作り上げましょう!」

田中さん「では知り合いの美容師何人かに声をかけていきますが、場所を決めないといけないですね。」

僕「天六にしましょう!」

天六というのは大阪にある、天神橋筋六丁目駅のことを略してテンロクというのである。田中さんも天六の美容室で働いていたという事もあるが、僕がその当時天六に住んでおり、周辺の立地を十分に把握し人の多さや坪単価など調べていたことがあった。

田中さん「いいですね!物件探していきましょう!」

僕「今は6月なので11月オープン位を予定して物件を探していきますね!」 この時は物件なんてすぐ見つけられるだろうと軽く考えていた。ここから約1年物件が見つからないとも知らずに。

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